
大河ドラマ「いだてん」はなかなか面白かったと思うが、視聴率は大河ドラマ史上最低だった。古今亭志ん生を語り部にするという奇策が裏目に出たかんじだ。とにかく、志ん生役のビートたけしが酷かった。活舌が悪く、何をしゃべっているのかよく聞き取れず、セリフは棒読み。さすがにこいつには無理だと思ったのか、途中から、森山未來と神木隆之介が進行役になったが、ぐちゃぐちゃ感は否めなかった。
そんな「いだてん」で、「そうだったのか」と思わせる箇所があった。それは男子マラソンのカメラのことである。帯同カメラが1台しか用意できなかったため、先頭のアベベだけを映す結果になったのだという。後続の様子は国立競技場でしか見れなかった。
その国立競技場に、2番目に日本人の円谷幸吉が現れたので騒然となった。そのサプライズに加えて、すぐ後方から迫ってくるイギリスのヒートリー、泣きそうな顔で逃げる円谷。その記憶は今でも鮮明に残っている。
この実況を生で見たと思っていたが、男子マラソンは水曜日に行われており、小学校は授業中である。だから、実況を見れるはずはなかった。おそらく、夜のニュースか特番で見たのだろう。それでも、円谷のマラソンが最も印象的だった。
実は、東京オリンピックは見に行っている。親に連れられて行ったのではなく、小学校の遠足で国立競技場に行った。雨が降る寒い日で、上のほうの席に座らせられた。陸上競技の予選が行われており、走り幅跳びとトラック競技が同時に行われていた。場内アナウンスもなく、事前に見どころの説明もなく、ただ寒さに耐えながら、ボーっと見ていただけだった。
オリンピックが終わった後、小学校ではオリンピックをテーマにした大きなちぎり絵をクラス毎に制作し、体育館に飾ることになった。我がクラスが選んだのは、円谷のマラソンだった。ところが、担任の権威主義的性格によって、遠藤幸雄の吊り輪に変更されてしまった。その理由とは、「円谷は銅メダルじゃないの。金メダルにしなさい」というものだった。
記:2020年02月